「ホロス2050」グループ
By Toshihiro Takagi Follow | Public

2018年12月10日(日本時間)、アラン・ケイ基調講演インターネット商用化25周年&ダグラス・エンゲルバートThe DEMO 50周年「IT25・50」シンポジウムを大成功のうちに終了することができました。
アラン・ケイ基調講演の全文・日本語訳を以下に公開しました。
http://it2550.net/news/181228_alankay_keynote_j/
ぜひ、その素晴らしいビジョンとメッセージに触れて、自身の問題として、来年以降どう行動していったらいいか考えてみてください。
【要約】
 50年前、1968年はパーソナルコンピュータの誕生にとって記憶すべき年であった。そのうちのひとつがダグ・エンゲルバートのビッグ・デモであり、そこで世界で初めてマウスが披露された。私がパーソナルコンピュータの理想型であるタブレット型の「ダイナブック」の最初のアイデアを発表したのも1968年であった。子どもたちが持ち運んで学習に使える本のようなもので、大人になってからも学習に使えるものを考えていた。
 ダグは、1962年に「人間の知性を増強するための概念的枠組み」という144ページの論文を書いている。私の今回の講演の目的は、皆さんにぜひこれを読んでいただきたいということである。
 ダグは1940年代、海軍のレーダー技術者であり、レーダーの中で探査信号だけでなく文字など様々な情報を見ることができることを知っていた。また、このころヴァネヴァー・ブッシュの「MEMEX(記憶拡張装置)」についての論文を読み、そのアイデアが彼の想像力を刺激した。1950年代、ダグはバークレーの大学院に行き、ゼロからコンピュータを開発するプロジェクトに加わった。当時は冷戦時代で、コンピュータを使って問題解決ができないかと考えた。
 アインシュタインは、「問題を引き起こしたときと同じレベルで考えていても、その問題を解決することはできない」と言ったが、この言葉は今日さらに重要性を増してきている。政治家は、自分たちは何もかも理解してやっていると思っているが、それが間違った考えであるということに気づいていない。
 ダグはシステムに関心があり、多くの人たちが、彼の本当の意図を理解できないでいるのは、彼がシステムの言葉で考え、システムの言葉でそれを人々に説明しようとしていたからである。
 彼はまた、言語と思考の関係、私たちが言語を使ってどう物事を考えるのかということに関心があった。たとえば、英語で「Rock(岩)」というと、一般的には、境界線の中が岩であり、境界線の外はそれ以外のものと考えるが、最近では完全な境界線はなく、いろいろな形で外のものと関係しているということが分かってきている。ひとつの「何か」と考えられているものは、実はダナミックなシステムの一部である。静止しているのではなく、中にある原子は常に動き続け、外部の世界と常に共振している。
 ダグは、どうすれば我々は議論をする能力を改善して、もっと建設的な議論をすることができるようになるのかという問いをしている。議論の問題点は、それがストーリーのようなものだというところある。人間はストーリーを、それが真実かどうかではなく、好きか嫌いかで判断する。政治家は、気に入らない結論は無視をする。たとえば、地球が今、非常に危険な状態になっている。それをなんとかしなければ我々自身が絶滅するかもしれないということを、最近はシミュレーションを用いて議論をするようになってきたが、一般の人向けには、このように新しい言語、新しい道具で主張していかなければならない。
 子どもは無の状態で生まれるのではなく、ある文化の中で生まれる。ひとつの文化の中で育ち、その文化が我々の現実に対する見方となる。そこにある目に見えないものを見えるようにするには、私たちがシステムの中にいるという見方をする必要がある。
 子どもは宇宙の中で生まれ、地球という惑星の中で生まれる。そして、自分が所属する社会システムの中だけでなく数多くの社会システムの中で生まれ、身の回りのテクノロジーだけでなくインターネットなど目に見えない沢山のテクノロジー・システムの中で生まれる。そして、人体自体がシステムであり、頭脳は宇宙の中で最も複雑なシステムである。
 私たちは、原始人に核兵器を与えたいとは思わない。コンピュータは核兵器よりもっと強力な武器である。ここ40年、コンピュータが商用化されてから、人類とこのテクノロジーの間で非常に危険なフィードバックのループが起きている。ダグはその危険性に気づいていた。人類の知性を向上させなければ、大変なことになってしまう。教育とトレーニングが重要なのである。本来であれば、スマートフォンやパソコンは気軽に使わせてはいけないものだったのである。その影響力は計り知れない。この道具には危ない性質があるので、それを避けるためには新しい教育、新しい方法論、新しい言語が必要である。システムを構成する5つの要素(人類・道具・教育・方法論・言語)。それらがうまく機能すれば、人間の知性を向上させることができ、私たちはテクノロジーの死のスパイラルから解放される。
 私たちは増幅器を設計する必要がある。コンピュータはこれまで発明された中でも最も優れた増幅器のひとつである。
 これからの子どもに理解してもらう必要があるのは、私たちがシステムの中で生きているということ、そして、私たち自身がシステムであるということである。

Announcements
  • 2019/01/08

    月22日(金)14:00〜17:00 SSKセミナーで「未来予測と事業創造2020-2050~アラン・ケイ「未来ビジョン」から混迷するIT革命の現状とビジネスチャンスを読み解く~」という表題で「IT25・50」シンポジウム アラン・ケイ基調講演について解説します( http... read more 月22日(金)14:00〜17:00 SSKセミナーで「未来予測と事業創造2020-2050~アラン・ケイ「未来ビジョン」から混迷するIT革命の現状とビジネスチャンスを読み解く~」という表題で「IT25・50」シンポジウム アラン・ケイ基調講演について解説します( http://www.ssk21.co.jp/seminar/S_19079.html )。対象は、ビジネスパーソンです。混迷する世界情勢をどう読み解き、どう先進的なビジネス構築をすればいいか、提言します。 「未来を予測する一番いい方法は、自らそれを創ることだ」というのは、「パーソナルコンピュータの父」アラン・ケイの有名な言葉です。そして実際、彼は自らの予測に基づいて未来を創造しました。アップル、マイクロソフトはもちろん、どのIT企業も、彼の「ダイナブック構想」の未来ビジョンなしには、今日の成功を収めることはできなかったのです。私たちは今、IT革命の激動に翻弄され、未来を予測することができずにいます。それは何故なのか?どうすればいいのか?その答えを解く鍵は、彼の「コミュニケーション・アンプリファイア(増幅装置)」という言葉にあります。今回のセミナーでは、アラン・ケイの卓越した未来ビジョンに基づいて、混迷するIT革命の現状を徹底的に解明し、「どうすれば未来を予測し、自らそれを創ることができるのか?」についてお話をします。 1.2018年12月 アラン・ケイ基調講演「IT25・50」シンポジウムを実施 2.IT革命50年史からの未来ビジョン ~コンピューター・パワー・トゥ・ザ・ピープル 3.アラン・ケイは「IT25・50」シンポジウムの基調講演で何を話したか? 4.未来予測の鍵「コミュニケーション・アンプリファイア(増幅装置)」 5.人類史とはコミュニケーション増幅装置の進化史である 6.人工知能/IoT/ブロックチェーン/共感経済・・・最先端キーワードの意味 7.人類の知性を高めるにはどうすればいいか? 8.マネー主体社会からコミュニケーション主体社会への大転換 ■未来予測と事業創造2020-2050 ~アラン・ケイ「未来ビジョン」から混迷するIT革命の現状とビジネスチャンスを読み解く~ http://www.ssk21.co.jp/seminar/S_19079.html show less

Video
Comments